黄金時代 春の嵐(2)

 階段を一回上がって渡り廊下を通過してまた一回降りた。着いた先は体育館裏ではなかった。反対側の校舎の陰になってしまい真っ昼間にも関わらず日が全く差し込まない美術室だった。取りあえず作業台を全て教室の端に寄せるように、と言われた。俺と男子は黙ってそれに従った。この後なにが起こるのかをすでに察しているのは男子も同じようであった。作業が終わった俺たちは並んで先輩らの方をみた。先輩らは美術室に来るまでの間にまた増えているようであった。様子を見る限りしょっちゅうこんなことが起こっているみたいだった。
「そしたらさ、お前ら二人決闘しろよ。」
「俺たち見てるから。」
「勝った方は教室帰っていいよ。負けた方は今日からパシリな。」
 先輩らは下品に笑った。映画みたいだなと思った。頭の悪い学校には頭の悪い遊びしか知らない連中がいっぱい集まってくるんだな。
「早く始めろよ。」
「やれよコラァ!」
 俺たちはそれでも動かなかった。隣の男子もそこまでバカではないようなので安心した。ただ二人して足が震えていて動けなかったってのもある。
「ああそう。分かった。おいデッキブラシ持ってきて。」
 後ろの方にいた先輩の一人が本当にデッキブラシを持ってきた時はきんたまが縮み上がった。こんなもので殴られたら死んでしまうと思ったので俺は腹を決めて男子の方を向こうとした。がああっという叫び声が聞こえた時には男子は居なくなっていた。あれ?一瞬何がなんだか分からなかった。最初先輩が襲いかかってきたのかと思ったけど違った。男子が果敢にもデッキブラシを握りしめる先輩(以下デッキブラシ)に殴りかかっていったのであった。男子の放った一発目のパンチは当たらなかった。それを見て俺もデッキブラシに迫った。背の小さい弱そうな佇まいの俺に先輩らは油断していたのだろう。デッキブラシが気付いた時俺はすでにつま先を固く絞って胃のあたりめがけて蹴った当たったデッキブラシは顔を真っ赤にしてそのまま倒れてゲロを吐いた。その頭を男子がかかとで踏みつけた。

←TOP  次→

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送