小さくしゃがむと地面が近くなる。
アリとか小さな名もしらない虫や草や石ころを見る。
ぼくは小さいので、たぶん遠くからは見えなくなるだろうなあ。
草に隠れるんだ。ぼくはその草の中で息をしている。
知ってる?
地面に向かって小さくなっているというのに、空も近くなるってこと。
これはぼくの秘密。
ある日気付いたんだ。
アリを追っかけていて、なんとなく、別に誰か呼んだとかそうゆうんじゃなくなんとなくね、空を見た。
空がぼくのすぐそばにある。
青い空。深い青い空。そのときの空に雲はなかった。
さっき、誰かが呼んだわけじゃないって言ったけど、ほんとうの意味は違うよ。
声は聞こえた。でもそれは心の中で響く声だったから。
それはぼくにしか聞こえない。母さんには母さんにしか聞こえない声がある。
そのことを知ったときはとても驚いた。
まだその声と外の声の区別がついていなかったからね。
それでも誰もおかしいとは言わなかった。
ひっそりと母さんが教えてくれたんだ。
「アダム、それはあなたにだけ聞こえる声だから。大切にね。それはあなたの声だよ」
とても寂しくなることがある。
ああゆうの、なんて言えばいんだろう。
誰といても、なにをしても、どんなご馳走がテーブルに並んでいても
どうしようもなくらい、泣きたくなるくらい(実際泣くことだってある)
そうゆうとき、ぼくは心をすます。かすかな声を聞くために。
寂しい気持ちはなくなる。全部ではないけれど、ほとんどなくなる。
そわそわしていた心が、しっとりと次の日のパウンドケーキみたくなる。



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