その図書館の天井は高く、窓はその天井まであり、ちょうど閲覧者たちが座るソファーに日の光は射す。
といっても建物はぐるり周りを背の高い木々に囲まれているため、館内はやさしい光に包まれている。
聞こえるのはハラリハラリと紙を捲る音。
焦ることなく、ああ今日は何を読もうかとゆう静かな興奮に満ちた足音。
通路は広々としている。本の匂い。
良質の紙は年月を重ねるごとに手触りも色も良くなってくる。
印字された文字は5年くらいの間はまだまだ紙の上で所在なさげだ。
紙の方も文字の扱いに戸惑いを感じている。
それが5、6年経ったころから、文字と紙はうまく馴染み出す。
浮いていたインクがやっと紙に染みてくるのだ。
そうなるとページのめくり具合などは、もはや芸術と言いたくなるほど美しい。
漂う香りも然り。
進化の過程で、直接食物を口にせずとも満腹感を得られるようになっても、
やはりわたしたちは料理し、それを皿に盛り、
親しき者とテーブルを囲み食事を楽しんだ。
読書についても同じく。瞬時にデータを取り入れることが可能になっても、やはり本はなくならない。
食物も活字も、五感すべてで感じることがいかにすばらしいか!
ただ文字を追い、知識を吸収する以上に、わたしたちは本を、その紙を、文字を感じたいのだ。

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