ネガ２号はポジの部屋でしばらく放心していたが、
　とりあえず問題はポジにまかせることに決めて
　考えるのはもうやめた。ポジならきっとなんとかするだろーし
　なんともならなかったら責められるべきは→　ポ　ジ
　だってオレ最初っからなんもしてねーし

　と、むっちゃ自己チューな２号らしく、
　問題は窓から投げ捨て、一旦停止。
　でも、外見はポジなので全部が全部投げ捨てるわけにもいかない

　ふぅと息を吐いた２号はポジの部屋を見回した
　落ち着かない部屋･･･
　ポジの部屋にはおどろおどろしいドクロの置物も
　何か不明な緑のゲルが全面に描かれた不気味なポスターもない
　よく整頓された本棚とCDとポジが描いた絵（緑の草原のさわやかな絵）
　本棚には「世界のUFO」だとか「ミステリーサークルの真実」だとかの本は
　一冊もなく、ニーチェだかリルケだかの本や画集ばっか。
　そうはいってもエロ本くらいはあるはず！
　と思いそこらじゅうの隠しそうな場所を探したが
　エロ本もエロDVDも発見できない
　「なあポジ、別にオレはお前がロリコンでもゲイでも言いふらしたりしない
　　からさあ、、、なんにもないっておかしいだろう！！！」
　納得出来ない２号はポジの部屋でウガガーと吠えた

　きっと、どこかの壁が回転扉になっていて、その向こうが
　エロルームなんだ。きっとそうだ。くそーこったことしやがってロリ野郎！（決めつけです）
　とムリヤリ納得し、もうこの部屋なんかつまんないとかなんとか言って
　外へ出かけることにした。ポジ母に声かけられないよーにそっと出た。

　ちえーっエジソン屋でも行っておっさんをひやかすかなーなんて思ってると
　向こうから同級生が歩いてくる
　その彼はやせっぽちでひょろひょろしていて、以前２号に
　「顔がドクロべえそっくり」
　と面と向かって言われてからはもう二度と口をきかなくなった
　ちっちぇえ奴よ、と２号は思っていたが、無視はちょっぴり寂しかった
　その男が今日はにこやかに２号に話し掛けてくる

やーやーポジくん！この間の話だけど、あれからボク正直に親に話したらさー案外すぐに認めてくれて、親もお前には才能があるとか言ってきてさーやっぱ分かるのかな、親ってすごいよねーボク頑張ろうかと思ってさー
　等、聞いてもないのにしゃべってくる。
　（こいつってこんなにおしゃべりなのか。それにしてもやっぱり似ている、ドクロべえ）
　いちおう表向きポジのネガ２号は、今回は口には出さなかった

　しばらく歩くと今度は後ろから肩をたたかれる
　２号は知らないがポジの親戚？だか近所のおばさんだかで
　親しげに体をバンバン叩きながら興奮して話してくる

　やっと逃げ出し早足でエジソン屋に向かおうとすると
　今度はポジの友達の外人が話し掛けてきた
　中国語のまったく分からない２号は
　とりあえずニヤニヤ笑ってニーハオと言って逃げる

　２号は寂しがり屋だけど、いつだって自分が寂しいときだけ
　話し相手を探すから、突然一方的に話し掛けてくる人たちは
　はっきり言ってうざかった。
　しかも自分の話ばっかしやがってよお　つまんねーっつうの！！
　と、自分のことは棚上げて思う。

　もう誰か知り合いが歩いてても目合わないようにしよう
　店先ばっか見て歩こう
　たとえ目が合っても気付いてないフリだ
　とにかくオレはエジソン屋で地底王国の本を買って１人で読むんだ！

　外見はポジのネガ２号は道の端っこを歩き、
　たいして興味もない服屋とかゲーセンの方ばかりを見て
　早足に歩いた

　しかしやたらと交際範囲が広く、その明るく素直な性格から
　誰からも好かれるポジくんは、どんな場所にも知り合いはいる。
　２号にとって不幸なことに。。

　本屋からちょうど出てきたその女は、ポジを（ネガを）見つけると
　駆け寄ってきた。そして

聞いてよーポジ あいつムカつくんだよー私のことだけが大事とか言っときながら他の女の子ともメールしてんの！なにメールしてんの？って言ったら「別に友達だよ。普通の話」だってさ！普通の話なら私にすればいいと思わない？な・ん・で、他の女にするのよって怒って泣いたのよ私、そしてらゴメン、もうしない、俺が大事なのはお前だけだよなんて、都合良すぎなーい？まったくぅ。･･ねえ聞いてるの？

　「･･るか･･･」「え？なんて？」

　「･･･し、し、し、し、、、、知るかぁぁぁぁ！！！！！」
　むらむらと毛細血管が波打ったネガ２号は、ポジとの
　しばらくはお互いを演じようねって約束なんかすっかり忘れて
　両手を空に突き出し炎を吐くイキオイで叫んで猛ダッシュでその場を離れた

　もう誰もオレに話かけるなぁぁぁぁ！！！！

　ネガの叫びは街中に響いたとか響かなかったとか。
　彼女いない歴＝年齢の２号に恋の話はまずいよね
　おしまい