後ろからとび蹴り


 ―― ネガ1号の場合
 人はもうじゆーに宇宙を行き来できる
 一家に一台どころか個人に一台スターシップを持つのは当たり前
 宇宙間ウェディングにもそろそろ飽きてきた頃

 ネガ1号は1人スターシップに乗り、宇宙空間を進んでいる
 2号なんかは人間関係は相当ちぐはぐだが実はとても寂しがり屋で
 誰でもいいから誰かといたいみたいなとこあるが、1号はそうでもなかった
 1人が好きだし、1人でも平気なのだ
 僕のこうゆうところは損なのかなあ、とたまに1号は思う
 だって、友達が多く、人気者な人って、だいたいすごく寂しがり屋な人たちだ
 (寂しがり屋で人付き合いがヘタな人ってかわいそう・・・たとえば2号とか2号とか・・・)
 だから僕って友だちがいないんだな
 それはやっぱり少し寂しいと、1号だって思わないでもないが
 それでもこうやって宇宙空間をさまようのに誰かと一緒ってのは
 非常に気詰まりだし、やっぱり1人がいいと思う

 スターシップはしばらく移動し、太陽系の1番端の冥王星まで来ていた
 太陽系とはいえ、ここまで来ると太陽の光も温かみも微量だ
 ほとんど感じられないと言ってもいい

 星の表面はマイナス230度で厚い氷におおわれている
 驚くべきことにこの星でも暮らす人々がいるのだ
 厚い氷のその下で、人々はわずかに実る植物を食べたり
 家畜を育てて生活している。想像に難くなく、それはとても過酷だ
 死と再生の星

 宇宙連合法によって一定の保護をされるまで、この星では
 何度も星のすべての生命が絶滅する危機に陥っていた
 今はそこまで酷いことにはならないが、かと言って全面保護されるまでの
 干渉は出来ないので、常に過酷であることに変わりはない

 今までに様々な人種がいたが、その多くは絶滅し
 厳しい中で築いた文明もことごとく崩壊していた
 そのためこの星は破壊の星とも呼ばれる
 人々は恐れ、敬遠し、この星に近づくことさえほとんどない
 年寄りなどは今生で不実をすれば、来世は罰としてこの星に生れると
 本気で信じる者もいる

 だけど、どんなに滅びても、また何度でも新しく生れるんだ
 だから死と再生の星なのだけど、人は破壊に目を向けたがる

 1号は操縦室の明かりを消し船を止め星を見た
 真っ暗な中、青白く惑星は光っている
 本当に、とても美しい。宝石みたいだ

 1号はチューニングを適当に合わし、誰にでもなく発信する

 ハローハロー ぼくはここにいるよ


 真っ暗な中、本当にほんのわずかな太陽の光が
 スターシップのネガ1号を照らしていた


 ナルシストのロマンチスト!あんなんだから女は
 勘違いするんだ!というのはネガ2号談
 ネガ1号意外にモテるのか・・・

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