黄金時代 春の嵐(1)

 入学式当日に乱闘騒ぎがあって四人が退学になった。
 四人とも鼻血をぼたぼた垂らしながら教員数名に体育館の外に連れ出されてそのまま帰ってこなかった。
 そのうち二人が同じ中学の友達だった。俺の他にこの二人しか同じ高校を受験しなかったので俺はいきなり孤立した。入学式が終わった後の新しい同級生たちが妙なテンションではしゃぐ中俺は一人机に突っ伏した。俺と同じようにひとりぼっちのやつはいる。でも彼らと俺では状況が違う。最初から一人と一人になってしまったのとは全く違う。こんな時俺は大抵本を読んでなんとか状況を凌ぐのだが生憎本日は入学式だけだと聞いていたので手ぶらであった。仕方なく机に突っ伏したまま時間が早く過ぎ去るのを待った。
 ドアが開いたなと思ったのは急に顔が涼しく感じたからだ。それから同級生たちがざわめき始めやがて静かになったので担任が来たのだと思った。やがて空気が重くなり始めたので先生でもないなあと思った。こんな時はうかつに動かない方がいいと分かっているのでそのまま顔を伏せたままじっとしていた。ぺったぺったとスリッパの音が聞こえて教室の端で止まった。がっしゃん!机が倒れる音がする。「お前と」スリッパの音が近づいてくる。俺の机が横からドカーっと蹴られて椅子から転げ落ちた。
「あとお前ちょっと来て。」
 俺とあと先に机から転げ落とされた男子は二人してうつむきながら先輩数名の後を付いていく。体育館裏だろうか。
「体育館裏かな。」
「な。」
 先輩たちは歩くのをやめて俺たちの方を向く。やばい、聞こえたかな、と思う間もなくもう一人の方の顔面めがけてパンチを放った。男子はうっと小さくうめいて顔を手で覆う。その隙間から大量の鼻血が流れ出る。「黙って付いて来いよ」俺は小さく頷いて男子と共にまた歩き出す。

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