コメとミリ(10)

僕が毎日同じよーにキーボードをガチャガチャタイプしまくり、出力したカラーカンプを営業に渡した瞬間突っ返されてちょっとへこんだり、仕事中にアルファのエクスタシー温泉を聞いていたらいつの間にか寝ちゃってて怒られたり、新しいクライアントが意外といい人で、差し入れにたこ焼きを頂いて嬉しかったり、それからバイト1号2号3号とのおもしろい会話を盗み聞きして思わず笑ってしまったり、ミリはミリで相変わらず不可解な行動をする少年や店主との日々に笑ったり、最近新しくなったPOSが使いにくくてムカついたり、近所にできた総菜屋にまずいコロッケを発見したりしているうちに、年末になってしまっていた。

年末の広告業界は目が回る忙しさで、僕は週2日の休日もやがてなくなってずっと会社に泊まっていた。そうして朝から晩までマウスの底がすり切れるほど操作しまくり、キーボードも

っっっっっっっっっっっm

と「M」のキーが押下しっぱなしになって壊れてしまうほどタイプしまくった。特にページものが大量に入ってきていたので、僕のモニタにはずっとテキストのみが表示され続けていた。
さらに僕がページものにかかりっきりになっている訳にもいかず、バイト共もまだ分からないことが多い故に彼らの面倒も見なければ行けなかった。
そんな生活を続けていたある日僕はとうとうダウンしてしまった。

僕が自販機コーナーで倒れているところを発見したのはバイト2号こと日置さんだった。あわてた彼女は救急車とあと僕の実家に電話をした。

僕は一日だけ入院した。
そして親が来た。
親と会うのは実に6年ぶりになる。大学に全部落ちた僕は親の貯金から数十万円を着服しそのまま家を出た。所在は知らせたが一度も僕のアパートに来ることはなかった。だから僕は勝手に勘当されたもんだと思っていた。
だから両親が来るとは思っていなかったのであった。

父「おう、久しぶり。どうだ、様子は。」
「うん。まあ。」
母「あんたずいぶん痩せたんじゃない。」
「うん。まあ。」
母「ちゃんとご飯食べているの。」
父「たまには帰ってこいよ。」
「うん。」
父「じゃあもう帰るから。」
「え。もう。」
母「こっちの方まで出てくんの久しぶりだもの。ちょっと買い物したいものがあるのよ。」
「えーあーそう。分かった。」
父「そいじゃな。正月ぐらいは帰ってこい。」

6年ぶりの再会はそんなもんだった。そしてようやく分かったのだ。昔から両親は僕に興味はなかったのだと。

退院して一週間休んだ。ミリは仕事こそ休みはしなかったが献身的に介護してくれた。僕は久々にミリに甘えてゆっくりと休んでいたのであった。
「どう、調子。まだしんどい?」
「おーもう平気だよ、明日からでも出勤できるぜ。それよりも。」
「うん。」
「なんか久々に僕ら顔会わせた感じがする。」
「そうだねー。米井さんあんまり帰ってこなかったもんね。仕事忙しいんだ。」
「うん。正月は印刷屋やってないからそのぶん前倒しになるんだ。だからどうしてもね。」
「そんな忙しい時期に倒れやがってこの野郎。でも米井さんが倒れたって聞いて、心配もしたけど、でもちょうど良かったんじゃないの。ちょっと体調悪い位じゃ休めないんでしょ。だからゆっくり休みなよ。」
「うん。でもさ、だいぶ体調戻ったし、ちょっと布団の中においでよ。」
「やだよ!」
「だいじょぶ。風引いた訳じゃないから。」
「そうゆう問題じゃねえんだよ!いや、ほんと、それならお風呂入りたい。」
「いいから!」
僕は愚図愚図言うミリの腕をがっしとつかんで布団の中に引きずり込んだ。
「あ。米井さんお風呂入ってるね!」
「うん。ミリが帰ってくる前に入った。」
「ずるい!あたしも入る!」
「だめー。」
「だってあたし汗くさいですよ。」
「いいんだ。」
「あっ。」
放っておくとミリはまだ何か言うつもりだったので僕は強引にキスをして口を塞いだ。むむむぅ等とミリは抵抗したがやがて黙った。
「ずるい。」
「え。」
「歯もすでに磨いているね。」
僕はさらにキスをしてそのまま首筋、胸、腹まで舌でゆっくりとなぞり、ミリの甘い体臭に夢中になりながら強引を押し通した。つづけ。

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